日本経団連・企業行動憲章の改定

11月8日、日本経団連は、Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成を柱として、企業行動憲章を改定したことを公表しています。

Society 5.0とは、現政府が推し進める将来社会ビジョンで、「必要なモノ・サービスを、必要な人に、必要な時に、必要なだけ提供し、社会の様々なニーズにきめ細かく対応でき、あらゆる人が質の高いサービスを受けられ、年齢、性別、地域、言語といった様々な違いを乗り越え、生き生きと快適に暮らすことのできる社会」(第5期科学技術基本計画)と定義されています。日本経団連は、こうした未来の創造が国連で掲げられたSDGsの理念とも軌を一にする、との解釈で今回の改定を位置付けています。以下、改定のポイントをみてみましょう。

1. サブタイトルを「持続可能な社会の実現のために」へ変更
「ビジネスと人権に関する指導原則」(2011年)、「パリ協定」(2015年)、「SDGs(持続可能な開発目標)」(2015年)などグローバル基準への依拠して、民間セクターとしての創造性とイノベーションの発揮を社会的責任の基盤とする考え方を示しています。

2. イノベーションを発揮して、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図ることを新たに追加(第1条)
広く社会に有用で新たな付加価値と雇用を新たに創造することを企業の社会的責任と位置付けています。創造的破壊ができる経営を評価する姿勢が表れています。

3.人権の尊重を新たに追加(第4条)
事業活動の影響を受けるすべての人々の人権を尊重する義務という国連・指導原則の考え方を踏襲しています。日本企業が先進国の水準から大きく遅れを取っているテーマです。

4. 働き方改革の実現に向けて表現を追加(第6条)
従業員の能力を高め、多様性、人格、個性を尊重する働き方の実現が企業経営の責務であることが明記されました。これを実践できる能力の有無が企業の盛衰を分けることになりそうです。

5.多様化・複雑化する脅威に対する危機管理に対応(第9条)
反社会的勢力、テロ、サイバー攻撃、自然災害等が現実的な脅威と感じられる昨今、織的な危機管理の充実は、当事者の企業のみならず、顧客企業の事業継続、国内外のサプライチェーンの活動、多くの労働者の生活にもかかわることから、従来より本腰を入れた対応が求められます。

6. 自社・グループ企業に加え、サプライチェーンにも行動変革を促す(第10条)
CSR調達活動の拡散・浸透に代表されるように、企業の社会的責任の範囲は年々拡大しており、責任投資原則、倫理的消費の動きと相まって、社会に有用な企業が選択される社会構造が整備されつつあります。サプライチェーンへの働き方は、自社にも協力会社にも社会にも相乗の利益をもたらします。

いずれの改定項目も、国際社会と日本社会が向かう望ましい社会像に合致した内容と私は評価します。絵に描いた餅とならないよう、皆さんの会社でも企業理念等の見直しをなさってはいかがでしょうか。