CSRはリスクアプローチが有効?

9月5日付の日本経済新聞一面にダイべストメントの記事が掲載されていました。ダイベストメントとは、環境や社会に悪影響を与える可能性のある企業向けの投資や融資を停止・撤退する投資家行動の意味で、「投資撤退」と訳されることが多いです。

既に行われている投資や融資を引き揚げる点において、投資を控えるESG投資(SRI)や責任投資原則より、否定評価の色彩が強く現れます。諸外国では政府系ファンド、年金基金、国を代表する大手金融機関が近年、こうしたダイベストメントの動きを強めいていることから、企業経営に警戒感が生まれています。

約15年前、日本にCSRを紹介した頃は、「義務でもないことをなぜしなければならないのか」「お金の使い方として株主ら説明できない」といった反応が多数でした。「社会からの信頼が厚くなり、資金も優秀な人材も集まっても中長期的に経営基盤が安定します」といった長期的な効用を強調しましたが、経営者の方々は首を傾げてスルーする状況でした。

これが、投資や融資を引き揚げとなると、経営リスクとして明確に理解されます。倫理的消費の動きも、購入ボイコットキャンペーンなど、ネガティブな行動の方が企業の即対応につながります。

こうしてみると、過去のCSRの失敗は、経営の倫理観や善意に頼り過ぎたことにあり、対応せざるを得ない合理的な理由を作らないと企業経営は「動けない」と考えるのが現実的なのでしょう。

異常気象や社会保障制度の破たんなど、環境や社会の持続可能な成長への舵切りが喫緊の課題となった以上、「事実上の強制」に一歩進める時期に至ったのかも知れません。