部下に一杯飲ませる効用

昔の役員・幹部は、呼び出して一杯飲ませる、忙しくても部下の親族の葬儀に顔を出すといった、部下の心を掌握する術にたけていました。部下は、雲の上の人に認められた、褒められた、心配してくれたと感激します。意気に感じて、この上司に義理を欠いてはいけない、問題があれば耳に入れようとなるわけです。店や金額の問題ではありません。

「悪いニュースは最初に早くに」と説示する役員・幹部は少なくありません。でも、仕事の会話しかない課長や担当者が、どうして役員・幹部の懐に飛び込んでくれるでしょうか。現場からリスク情報が上がってくる組織は、部下の将来を考え、声掛けを怠らない役員・幹部への神様からのご褒美のような気がします。

どうしてこんな話を書いたかと言いますと、経営によるリスク情報の把握が内部通報窓口など制度偏重の議論に走りすぎていますし、パワハラの申告を恐れた役員・幹部が感情を発露した率直な会話を避ける傾向が増加していると感じるからです。ここを間違えると、組織の建前と本音の矛盾に現場が苦しんだり、あきめたりすることになりかねません。

部下の努力を認め、改善策を教え、励まし続ける。部下の提案に、「よし、わかった、やってみろ。責任は私が取る」と応える。役員・幹部がそうした姿勢を一貫して保つのが、「風通しの良い組織」なのだと思います。最近、役員・幹部の方々と話をしていますと、中間管理職のような技術的・細目的な内容が多く、とても心配です。

ESG投資の拡大が意味するもの

7月3日、GPIFが日本株の3つのESG指数を選定し、同指数に連動したパッシブ運用を開始したことを公表しました。
http://www.gpif.go.jp/operation/pdf/esg_selection.pdf

ESG評価の高い銘柄を選別するポジティブ・スクリーニングで、当初は国内株全体の3%程度、約1兆円で運用を開始するとのことです。国際比較でもネガティブ・スクリーニングが大半を占めるなか、GPIFの役割を踏まえた社会的価値の高いチャレンジと評価したいと思います。

企業が社会や環境の課題解決とビジネスの成功を結び付け、Win-Winの経営戦略を実践することをCSR(企業の社会的責任)といいます。こうした経営は政府の負担能力を補完し、社会の持続可能な成長を支える重要な役割を担います。このCSRが成立するためには、市民が倫理的な消費行動をとること、並びに投資家が倫理的な投資行動をとることが必要条件となります。

環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)の要素に配慮したESG投資は、CSR(企業の社会的責任)と深く繋がり、建設的で有効な事業活動に中長期的な資金を提供することで、社会の持続可能な成長を財務面から支える働きが期待されます。

慈善活動のCSRを卒業した企業は、こうした筋の良い投資家や消費者からパートナーに選ばれることを目標において、自社をどのように見てもらいたいかをデザインしなおすことが大切です。最初は借り物ですが、お付き合いする方々が変わると企業も変化し、成長・発展の可能性が拡大します。ESG投資の拡大は、企業再生のチャンスと考えてみてください。