4月13日、金融庁は、女性専用シェアハウスをめぐる投資トラブルに絡んでスルガ銀行への緊急の立ち入り検査を行いました。
問題のシェアハウスは、9日に民事再生法の適用を申請したスマートデイズ(東京・中央)が運営するもので、長期の賃料保証をうたって会社員らに投資を勧誘したものの空室を埋められず、1月に賃料の支払いが止まりました。スルガ銀行は、このスマートデイズと手を組み、1棟で1億円前後する土地・建物の資金を約700人の投資家に融資し、融資総額は1千億円規模に上るとされます。
新聞報道によりますと、スルガ銀行の一部役員が主導する形で、投資家の年収を証明したり、預貯金の残高を示したりする審査書類を改ざんするなどの行為に関与した疑いが持たれ、金融庁も、スルガ銀行が不正を見抜けなかっただけでなく、同行の役員が不正に加担していた例もあるとみているようです。ただし、スルガ銀行の広報は「指摘のような事実を認識していない」とコメントしています。
こうした報道にふれた際、どのような経営者のリーダーシップや組織風土があるのか興味が湧くので、私は、Webの就活サイトで社員や退職者のコメントに目を通します。スルガ銀行の場合は、オーナー企業、トップダウン、個人営業に特化、上司の命令は絶対、数字がすべて、低成績者にはつらい、罵声・人格否定等々の言葉が多いように感じます。なんとなく、問題を生む風土の香りがしますね。
つい最近までスルガ銀行は、個人ローンに特化して高収益を図る地方銀行、圧倒的な預金金利ざや等々、差別化戦略の成功事例ともてはやされていましたが、裏を返せば相当な無理を重ねていたらしい状況が露呈してきました。同業他社が苦しむなか増収増益を続ける企業は、コンプライアンス違反のリスクが高いと、私も経験上感じています。今後の調査結果を注視したいと思います。