アナン元事務総長の功績

国連事務総長を1997年から10年間務めたコフィ・アナン氏が80歳で死去されたニュースに触れました。心から追悼の意を表します。

CSRやソステナビリティの分野では、グローバルコンパクトと責任投資原則といった地球規模のイニシアチブや、SDGsの前身となるミレニアム開発目標MDGsを設定・推進された功績が挙げられます。

それまでの国際機関の協働や学者・国連スタッフのご尽力の賜物とは思いますが、強いリーダーシップとプレゼン力で世界中の関係者の気持ちを一つにまとめた業績は、情熱と知性に溢れ、地球規模の課題の本質を知らしめたものとして、長く語られ続けることでしょう。

アナン事務総長は国連職員出身の初の事務総長で、現場の実態に精通し、組織を効率的に動かす力が抜群に高かったと、国連関係者から聞いたことがあります。飢餓、貧困、戦禍など社会的に弱い立場の人々を守る人間愛が、様々の活動の根底に流れていた気がします。

自国の利益を優先する傾向が強まる現在、地球規模で人々を正気に戻すリーダーの登場が大切です。心からご冥福をお祈り申し上げます。

夏休み 書籍のお薦め

早い夏休みに入られる読者もいらっしゃると思いますので、本日のブログでは、私がお薦めする書籍を紹介します。休むときは空っぽになりましょう。だから、ビジネスの書籍は除かせてもらいました。

● 青山文平著「白樫の木の下で」、同「かけおちる」、同「つまをめとらば」(文春文庫)
ジャンルは時代小説ですが、心の葛藤や人間関係が織りなす綾が現代にも通じ、なんとも言えない表現で描写されていて、どんどん引き込まれます。読後感も爽やかです。こんな小説が書けたら最高だなと著者に憧れています。

● 武内涼著「破れども負けず」(新潮社)
本書も時代小説です。古今東西の敗将たちの葛藤が無駄のない筆致で描かれ、完成度の高い作品に仕上がっています。一発逆転の現代小説とは違い、スケール感の大きな話が続きます。普段、時代小説を読んでいない方にもお薦めです。

● 水野達哉著「移民の詩」(CCCメディアハウス)
著者は私の中高校時代の同級生です。群馬県大泉町での日系ブラジル人と地域住民との交流の歴史を、インタビューをもとに物語的にまとめた作品です。異なるバックグランドで成長した人間が共生する壁とエネルギーが行間から香り立ちます。これから外国人労働者と共生する場面が増えますので、多くの方に読んでいただきたいです。

さて、あまりに仕事が多忙のため、執筆の負荷を減らし、体のコンディションを整える目的で、8月6日から17日まで、本ブログは休ませていただきます。再開を楽しみにしてください。

 

管理職の労働時間の把握

7月31日の日本経済新聞に、厚生労働省が管理職の労働時間を把握するよう、関連省令を改正して19年4月から企業に義務付ける方針を固めたとの記事が掲載されていました。罰則付きの残業規制が導入され、インターバル制度の普及促進も始まることから、管理職の労働負荷の高まりが予想されることから、こうした改正が検討されている模様です。

この記事を読まれた弊社のお客様から、労働時間規制の対象とならない管理職について、なぜ就労時間の把握が必要なのか、との質問を受けました。それは、残業代の問題ではなく、本人の心身の健康被害を防止するためです。

近年、労基行政がサービス残業の摘発・是正に重点を置いていますが、これは賃金未払いの解消だけでなく、その背後にある長時間労働や過剰労働による健康被害や自殺を防止することが目的とされています。健康への影響は個人差があって外部から把握しにくいので、形式的に判断できるサービス残業で兆候やリスクを把握していると考えてください。

また、同記事にもありますとおり、名ばかり管理職の問題はまだ十分解消されておらず、そうした労働者の健康被害リスクに手を打つ必要もあります。名ばかり管理職に任用され手困っている労働者は、横で連携することが難しく、本人の通報・相談でもない限り、労基署も踏み込むのが難しい問題です。そうした現状に対して、労基行政が橋頭堡を築く意味で、今回の改正は企業の対応にも影響してくると思います。

日本企業での管理職の地位・権限・処遇を考えますと、労働者性を重視して保護を厚くすることは、現実的かつフェアな経営につながると思います。私は、記事にある改正に賛成です。