ジェンダーはビジネスの新教養

ブログの標題は、治部れんげ著「炎上しない企業情報発信」(日本経済新聞出版社)のサブタイトルから引用しました。私は現在入院中で読書三昧の日々ですが、とても示唆に富む出色の書籍なので読者の皆様にぜひ紹介したいと思います。

近年、CM・Webサイト、立場ある人間の言動等で、時代錯誤な女性像が批判を招き、レピュテーションを低下させる事態が増加しています。治部さんは著書のなかで、批判されるポイントを、①働く女性への侮辱、②女性客全般を見下ろす表現、③性的イメージの露骨な表出、④家事・育児を女性の役割と決めつけている、と区分しています。

こうした視点の欠落に、組織の意思決定の段階で気づかない業務プロセスが問題であり、どうすれば異なる多様な見方で炎上を防止できるとかというサゼッションも具体的に紹介され、実務的な内容になっています。

中でも私が感心したのは、ディズニー・プリセンス映画の1937年から2106年のまで13作品の変遷の解説です。

古典的な、白雪姫、シンデレラ、眠れる森の姫では、困難を甘受する受け身的な生き方、優しさを失わない姿勢、プリンスの登場などが主人公に対する時代のジェンダー像が反映されていました。

その後、第二次対戦、公民権運動、女性解放運動、非白人比率の増加等を経験したディズニー社は、到来する新たなジェンダー規範を先取りして、社会的リーダー、民族・性差の区別なし、対立の融和促進、自分らしさの確立等に全力投球するプリンセス像に転換したと、治部さんは解説がされています。

リトル・マーメイド、美女と野獣、アラジン、ポカポンタス、ムーラン,、アナと雪の女王など、自立して社会や家族の難題に取り組む女性像が生き生きと描かれていましたし、そうした価値観に肯定的に両親が子供に触れさせて、若い層には新たなジェンダー規範が自然とし見込んでいる、ということのようです。だから、私のようなおじさん達にはわかりにくいのですね。

こうしたディズニーの戦略は、経済的成功を実現しながら地球社会のサステナビリティを促進する有効な施策で、国連SDG`sのテーマを規範・価値観の側面から啓蒙する素晴らしいビジネスだと思います。

また、治部さんの著書の中では、共稼ぎで子育てをする夫婦を描くパナソニック家電のCMが高く評価されています。家電製品の便利さを押し付けるのではなく、働き方改革か実現したワークライフバランスの取れた生活を描き、見る人に希望を与える点で、私もこのCMには好感を持っていました。

ジェンダー規範は、女性の解放にとどまらず、共同参画社会、サステナブルな社会の実現に向けた取り組みです。そうした観点で治部さんの著書を読まれると、一層理解が深まると思います。

日産・ゴーン元会長事案に関する雑感

日産・ゴーン元会長事案は、圧倒的な君臨に上り詰めたゴーン氏が、公私混同の一線を超えたこと、ならびに直接的貢献は激減したのに過剰報酬であると感じられることに、プロパーの役員幹部の不満が爆発したのが実態であると私は分析しています。

また、会長と社長の意思疎通もわからないのに、会長の不正を軽々しく告発する輩もいないでしょうから、内部通報を端緒に調査を開始したという発表も額面通りに受け止められません。

専門家のコメントは、日産のガバナンス態勢の不足を指摘し、報酬決定方法の開示や報酬委員会の設置等を説きますが、どこまで効果があるか疑問です。ガバナンス・コードで示されている態勢・開示・対話は、投資家やファンドの判断に必要十分なのか大いに疑問です。他のステークホルダーにはなおさらでしょう。

報酬決定方法は枠組みを決めますが、評価や配分の運用によってトップの報酬額を最大値に引き上げることは容易でしょう。また、トップが実質的に選任し、少しでも長く務めたい社外役員に、お手盛りの防波堤を期待するのは現実的と思えません。

計算方法の開示で上限金額まで明示したり、退職後の慰労金計算や顧問・コンサル・年金の見込みまで開示すれば実効性があると思いますが、果たしてそこまで踏み込めるでしょうか。

お手盛り防止というガバナンスの一丁目一番地が機能していないのは、日産だけの問題ではなく、現在のガバナンス促進策が不十分である証左であり、多かれ少なかれ他の企業でも同様の問題を抱えているのではないでしょうか。

私は、Copmply Or Explainのソフトローを充実する以前に、トップによる私物化、公私混同、利益相反等を類型化して、永久追放や懲罰賠償等の厳罰を会社法に盛り込み、特に上場会社については定められた行政機関や第三者機関が監視・告発受理・調査を行い、責任追及を会社に促す仕組みを導入してもよいのではないかと考えています。

人間誰でも、自分のことを棚に上げ、欲を求め、苦を避ける傾向はあります。太鼓持ちが裸の王様を生むのも組織の常です。そうした人間の弱さを前提に、影響の大きなトップによる逸脱を防止するのは会社法の役割だと思います。有価証券報告書の虚偽記載といった形式犯で幕引きしてしまっては、何の改善にもなりません。今後の展開を注視したいと思います。

 

お客様へのお詫び  病気静養のため仕事を一時休止させていただきたき件 

お客様各位

 

現在、病気治療のため都内の某病院に長期入院しております。

少なくも2019年3月末日、遅ければ同年4月末日頃まで、治療と体力回復のため仕事を休止せざるを得ない事態となりました。

私自身の健康管理の悪さからお客様にご迷惑をおかけして誠に申し訳ありません。仕事復帰の状況が明確になり次第、随時連絡させていただきます。

なにとぞご容赦のほどお願い申し上げます。

笹本雄司郎拝