非常時に安全側に制御する信頼性設計

6月6日(火)、茨城県大洗町にある日本原子力研究開発機構大洗研究開発センター燃料研究棟で、核燃料物質の点検作業中に、保管していた容器を開封したところ核燃料物質を入れていたビニールバッグが破裂し、作業していた5名の身体汚染、そのうち4名が内部被ばくする事故が発生しました。

7月5日(水)に開催された原子力規制委員会の定期会合の配布資料(公表)では、現時点での調査結果として、次の問題点を指摘しています。

1.  長期間経過している危険物質を開封する作業は非定常作業(日常的に反復・継続して行われることが少ないため作業者が習熟する機会が少ない作業)と認識して作業計画書を作る必要があったが、これを策定していなかった。
 2.  放射線分解によるガス発生に関する十分な知識がないためにビニールバッグの破裂を予見できず、一般安全チェックリストの点検項目においても爆発、破裂、飛散のおそれがないと評価していた。
 3.   放射線安全チェックリストの被ばく線量(計画値)において、取り扱う核燃料物質に係るチェック項目がなく、使用する場所の事前サーベイのみに基づいて被ばく線量を評価しているなど、取り扱う予定の核燃料物質に係る検討が欠けていた。
 4.  施設の保安活動を行う者に対して放射性物質放出の際に執るべき措置の教育・訓練は行われているものの、汚染又は被ばくした時の対処の教育訓練等は行われていなかった。

原子力関連施設は、膨大な保安規定やマニュアル、徹底した分業体制と自動システムという特殊性があり、一般の事業組織とは異なる背景・要因があるとは思います。しかし、横浜マンションの杭打ちデータ偽装事件の調査報告書でも指摘している通り、予定外のトラブルが発生したときの対応ルールの未整備・不徹底は多くの組織に共通した弱点といえます。

トラブルの際に、焦りから事態を悪化させる人間の行動は広く知られています。定期的な教育・訓練や注意喚起は必要ですが、すぐに忘れてしまいます。事故やミスは必ず起きる前提に立ち、人為的誤差が介入しないように自動化・無人化を進め、かつ障害が発生しても安全側に制御する信頼性設計(フェールセーフ)に投資することが、危険施設を保有する事業者の責任であると社会は考えるようになりました。経営による設備投資の決定では、こうしたミスや不正を防止する観点も考えたいものです。