部下に一杯飲ませる効用

昔の役員・幹部は、呼び出して一杯飲ませる、忙しくても部下の親族の葬儀に顔を出すといった、部下の心を掌握する術にたけていました。部下は、雲の上の人に認められた、褒められた、心配してくれたと感激します。意気に感じて、この上司に義理を欠いてはいけない、問題があれば耳に入れようとなるわけです。店や金額の問題ではありません。

「悪いニュースは最初に早くに」と説示する役員・幹部は少なくありません。でも、仕事の会話しかない課長や担当者が、どうして役員・幹部の懐に飛び込んでくれるでしょうか。現場からリスク情報が上がってくる組織は、部下の将来を考え、声掛けを怠らない役員・幹部への神様からのご褒美のような気がします。

どうしてこんな話を書いたかと言いますと、経営によるリスク情報の把握が内部通報窓口など制度偏重の議論に走りすぎていますし、パワハラの申告を恐れた役員・幹部が感情を発露した率直な会話を避ける傾向が増加していると感じるからです。ここを間違えると、組織の建前と本音の矛盾に現場が苦しんだり、あきめたりすることになりかねません。

部下の努力を認め、改善策を教え、励まし続ける。部下の提案に、「よし、わかった、やってみろ。責任は私が取る」と応える。役員・幹部がそうした姿勢を一貫して保つのが、「風通しの良い組織」なのだと思います。最近、役員・幹部の方々と話をしていますと、中間管理職のような技術的・細目的な内容が多く、とても心配です。