適切なコミュニケーションの実践手法

コンプライアンス推進の担当者が大好きな言葉に「コミュニケーションの充実」、「風通しの良い職場」があります。私も、具体的な実践手法を聞かれることがしばしばあります。その際、私が最初に推薦するのは、平木典子先生が指導されるアサーション・トレーニングです。

アサーションとは「自分も相手も大切にする自己表現」を意味します。平木先生の言葉をお借りすれば、アサーション・トレーニングは、「私たちの会話を心理学の知恵をもとに読み解き、日常のやり取りに変化と充実感をもたらすコミュニケーションの方法と関わり方」で、人の心の奥深さを知り、自分らしい生き方を拓く道を習得するプログラムと言えます。

自己表現のタイプには、非主張的、攻撃的、アサーティブの三つがあり、どのタイプの自己表現の割合が多いかは、人によって異なりなります。乱暴に言えば、上司の横暴にじっと我慢して耐え続け、不満やストレスを爆発させたりメンタル疾患を発症したりしてしまうのが「非主張的」、自分の感情や考えを一方的に押しつけ、相手の人格を傷つけたり人間関係を壊したりしてしまうのが「攻撃的」、そして両者の中間が「アサーティブ」です。

アサーティブな自己表現は、自分が話したいことをなるべく素直に、率直に伝えると同時に、話した後には、相手の反応を待ち、相手の話したことに対応することも含みます。相手も同じように自己表現することを前提としますので、互いに同意したり、同意しなかったりしながらつくりあげるコミュニケーションということになります。

アサーション・トレーニングのプログラムでは、アサーティブになることを邪魔する要因、自分の考え方をアサーティブにする知識、相手の心の届く伝え方を習得できます。そこで習得する知恵は、タスクの達成、人間関係のメンテナンス、高いレベルでの自己実現に有効です。

ここまでの説明(スミマセン、ほとんど平木先生のご著書からの拝借です)だけでも、メンバーがアサーティブを心がけることで「風通しの良い職場」になりそうだと感じられると思います。さらに良いことに、自他尊重の価値観が定着することで、人権感覚に優れた職場にもなります。

平木先生のごお勧めのご著書は、「改訂版アサーション・トレーニング-さわやかな<自己表現>のために」(発行所:日本精神技術研究所、発売元:金子書房)、「図解 自分の気持ちをきちんと<伝える>技術」(PHP研究所)、「アサーション入門 自分も相手も大切にする自己表現法」(講談社現代新書)です。

私も平木先生に監修していただき「コンプライアンス推進のためのコミュニケーション・トレーニング-誰もが問題提起できるアサーティブな職場づくりのために-」というeラーニング教材を第一法規㈱から発売しています。ぜひ、関心をもって勉強してみてください。