連合・性的指向及び性自認に関する差別禁止に向けた取り組みガイドライン

11月16日、連合が「性的指向及び性自認に関する差別禁止に向けた取り組みガイドライン~すべての人の対等・平等、人権の尊重のために~」を公表しました。解説が平易かつ実務的なので、組織で働く多くのみなさまに一読をお勧めします。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/gender/data/guideline_no-discrimination201711.pdf

性的指向は恋愛感情や性的関心が主にどの性別に向いているかを、性自認は内心における性別の意識をいいます。性自認において戸籍上の性と一致しない場合やどちらの性にも違和感を感じる場合をトランスジェンダーといい、そのうち医学的基準によって診断される場合を「性同一性障害」と呼びます。2003年7月16日、「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」が成立し、翌年7 月16 日に施行されています。同法は、性同一性障害 と診断された者のうち特定の条件を満たす方に対して、家庭裁判所の審判を経て法令上の性別の取り扱いを変更することを認め、戸籍上の性別記載を変更できるものとした法律です。

重要なのは、性的指向にしろ性自認にしろ、本人の希望や責任ではないということです。しかも、連合による2016年8月の調査では、約8%の人々が性的指向もしくは性自認の特徴を持っていると回答しており、どのような職場でも一定の割合で存在している普通のことなのです。そうしたセクシュアリティの多様性が客観的事実として社会で認識されず、該当する人々も継続的な痛みや苦しみに忍従してきたことが、重大な人権侵害として正しく認識されるように社会の考え方が変わったのです。

性的指向や性自認の特徴を持つ人は、他人との深いコミュニケーションを避け、福利厚生の制度や施設を利用できず、精神的に孤立し、自分の存在に悩み、自殺願望を抱くケースが少なくありません。より一層の偏見、差別、嫌がらせが怖く、本人の同意なくセクシュアリティを暴露されるアウティングの恐怖からも逃げられず、職場でのカミングアウトは極めて高いハードルです。

同ガイドラインでは「労働組合の取り組み」として、①差別禁止の方針の策定と周知、②ハラスメント対策、③相談体制の整備、④雇用管理のステージごとの取り組み、⑤労働安全衛生関係、さらに具体的な環境整備と当事者支援についても解説しています。近年、性的指向や性自認に関する多様性の受容や差別の禁止を行動規範に追加する日本企業が増えてきましたが、原則論に終わらず、同ガイドラインが述べる施策を経営サイドでも導入し、労働組合や労働者代表と連携することを期待します。

何も問題を抱えていない人間はいませんし、多数が小数を差別する組織や違うことを許さない組織は健全な大人の社会ではありません。就労能力ありと判断して採用した以上、会社は雇用を維持し、本人の尊厳を守る責務があると思います。人間は、尊厳や権利の平等が守られて初めて、責任ある生き方や社会への貢献が可能となります。仕事の場では、競争や排除の論理ではなく、理性・良心・同胞の精神をもって強い絆(エンゲージメント)を築くことが大切です。互いの違いを理解し、職業能力を磨きあい、高いレベルの成果を目指す組織でありたいものです。