職場のハラスメント防止条約

国際労働機関(ILO)は年次総会最終日の6月8日、働く場での暴力やハラスメントの根絶に向けた基本理念と罰則を備える条約締結を来年の総会で目指すべきだ、という委員会報告を採択しました。

まだ正式な文書は読んでいませんが、各種報道によれば、禁止する行為対象は職場やその延長上での暴力やハラスメントを幅広く含み、また保護対象者も雇用関係の有無にかかわらず取引上の立場を背景に拒否できない人々を含む方向で協議されたようです。

こうした職場のいじめ行為は、英語ではブリイング(bullying)とかモビング(mobbing)、モラル・ハラスメント(moral harassment)という言い方が一般的です。若年労働者の失業、社会的排除の解決に向けて企業が雇用と職業訓練を提供したのがヨーロッパのCSRの発端ですが、職を奪われかねないベテラン労働者が新参の若年労働者をいじめる現象などが90年代から問題視されました。

その後、1990年代からスウェーデン、英国、フランスなどで立法措置が取られ、2000年を超えてからはEU委員会は「新EU労働安全衛生戦略2002-2006」をスタートに、労使間の自発的な労働協約の締結を推進しました。

このいじめ問題について、国際労働機関(ILO)は国際的に統一した規範を制定を模索してきましたが、社会構造や文化的価値観の違いから、たいへん難しい作業になったと聞いています。今回、そうした社会ルール作りの経緯のうえに、国際条約に向けた動きが作られているわけです。

日本は、人権意識が低く、労働慣行や職場での個人の尊厳について、国際レベルから遅れています。風俗業への外国人女性の斡旋や外国人実習生の問題など、闇に隠れて行われる人権侵害もいっこうに解消しません。セクハラ条約と解説する報道もありますが、人間の尊厳を職場や取引でも尊重・保護する最低限の国際ルールと解釈してください。