経済団体「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」の重要性

日本経団連、日本商工会議所、経済同友会、全国中小企業団体中央会、業種別経済団体59団体が9月22日、「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」を公表しています。10年以上前から国内でCSRを紹介してきた私は、ようやくここまで辿り着いたかと感慨無量です。経済団体の英断に心から敬意を表します。この共同宣言はCSR経営にとって極めて重要な社会規範のひとつですので、私のブログで取り上げさせていただきます。
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/071.html

近年、調達先などサプライチェーンの現場で発生する人権侵害、労働紛争、環境破壊等に加担せず、必要ならば影響力を行使するという意味で、CSR調達、サプライチェーンマネジメントが企業に普及してきました。しかし、原因の半分は無理なコストや納期を強いる発注側にあります。国内の実務では下請法や独禁法の不公正取引(優越的地位の濫用)に注意を払いますが、これらは取引行為の悪性を規律するもので、委託先・調達先の従業員の働き方を念頭に置いたものではありません。

これまでも、委託先・調達先の経営に配慮してもらう側面と発注企業の経営に配慮してもらう側面の両方が必要ということはわかっていましたが、後者に正面から取り組む企業は稀で、ましてや経済団体が音頭を取って改善することは当面考えられないだろうと思っていました。その経済団体が表明した改善方針が今回の共同宣言です。

共同宣言の具体的な中身は次の6項目です。
1. 関係法令・ルーの遵守に加え、取引先が労働基準連 関係法令法令に違反しないよう、配慮する。
2. 発注 内容が曖昧な契約を結ばないよう、契約条件(発注業務・納期・価格等)の明示を徹底する。
3.  契約時の適正な納期の設定に加え、仕様変更・追加発注を行った場合の納期の見直しなどに適切に対応する。
4.  取引先の休日労働や深夜労働につながる納品など、不 要不急の時間・曜日指定による発注は控える。
5.  取引先の営業時間外の打合せや電話は極力控える。
6.  短納期・追加発注・高品質など、サービスの価値に見合う適正な価格で契約・取引する。

一見すると下請法の解釈指針と似ていますが、「下記の取組みを推進し、長時間労働につながる商慣習の是正、ひいては、サプライチェーンに係わる誰もが働きやすい職場環境を整備し」と頭文に書かれた目的が、この共同宣言の進歩性を示しています。

経済団体には、この共同宣言の項目追加、運用ガイドラインの策定など、今後の日本の社会に適した取引上の配慮について、ルールメイキングを牽引してくださることを希望します。また、企業には、調達先任せのCSR調達ではなく、「先ず隗より始めよ」の姿勢で、自社サイドの原因撲滅に取り組むことをお勧めします。とても素晴らしいニュースで、久々に心が晴れました。経済団体の関係者の皆様、ありがとうございました。