社長ポストの自主返納

6月7日付け日本経済新聞(夕刊)によれば、高齢ドライバーの認知機能検査を強化した改正道路交通法施行から約1年間で、「認知症の恐れがある」と判定された約5万7千人のうち4割(2万人)が免許の自主返納などで運転をやめていたことが警察庁のまとめ(推定値)でわかったそうです。

私のコンプライアンス研修を受講された某製造業のグループ会社の社長が役員定年前に職位を自主返納する例が最近ありました。御本人とお話する機会があり、単刀直入に理由を尋ねたところ、①現場のすみずみまで点検したが大きな問題はない、②世間の基準が過剰なほど細かくなり感覚的についていけない、③会社や後進に迷惑をかけたくないし、自分も晩節を穢したくない、等々の説明でした。

このお話に私はとても感激しました。「仕事や責任を放りだしてけしからん」という意見もあるかも知れませんが、変化のスピートについていけないリスクを直視し、潔く後進にポストを譲るのは究極の責任の取り方かも知れません。

経営者の能力を客観的に測るのは、現実には不可能ですし、意味もありません。しかし、企業を取り巻く環境の変化に無関心、無頓着であるのは、経営者として失格だと思います。例えば、上場企業の役員を対象に、最新版の経営常識やルールをセルフチェックしてもらう仕組みを証券取引所が上場規則で導入されてはいかがでしょうか。

コーポレートガバナンス・コード等では、経営トップを監視し、首をすげ替えるシステム作りに熱心ですが、もはやここまでと自主返納する仕掛けがあってもいいように私は思います。皆さんはどのように考えますか?