不正行為の社内調査メンバーの選定

9月22日付けの商工中金のリリース「継続調査の完了予定時期の見込について」に気になる一文を見つけました。調査の正確性・客観性に万全を期すために一定程度の追加の期間を要すると判断した、調査に携わっていた職員の一部に過去不正行為に関与した者がいることが判明したため、当該職員が調査した口座について再調査を行うことにした、という内容です。

同様の事態は、不正行為の内部調査でしばしば発生し、その回避に知恵を絞っています。調査はまず外堀から固め、最後に本人を尋問するのがセオリーですが、「この人間だけは調査メンバーに加わって欲しくないという役員・社員はいるかどうか」を、私は最初の段階で不正を実行したと疑われる本人に確認するようにしています。このやりとりで、関係者の範囲をつかめたこともあります。

また、該当部署の担当役員・職制・レポートラインを年次別に一覧表にして、情報にふれている可能性が否定できない方は調査メンバーから外れてもらいます。自分を疑うのかと怒る方もいますが、短期間で正確な調査を行うには、調査の手戻りが一番怖いので、そうした理由を丁寧に説明して十分納得していただきます。そこで摩擦や対立が生じますと、後々調査を妨害される危険があります。

もちろん、調査メンバーは就任時に「私は不正に関与していません」と誓約してもらいますが、記憶が曖昧であったり、「関与」の定義にバラツキがあったりして、完全に信用することは困難です。誰も防衛本能から自分の都合の良い方向に解釈しますので、内部調査はその誤差のリスクを想定して進める必要があります。

こうして消去法で調査メンバーを決めるとなりますと、その事業や業務に精通している役員や社員はほとんど任命できない事態も発生します。特に、業績を確保するための組織ぐるみの不正ですと、現在の社長も過去に関与していた可能性があり、悩ましい状況となります。

「これは無理だな」と思ったら、私は第三者中心の調査体制をお勧めするようにしています。本当は内部調査で自浄作用を発揮したいのですが、それができない状況もあるという話です。

不正調査の実務は、こんな生臭い話からスタートすることを紹介させていただきました。参考になれば幸いです。