相談役・顧問の情報開示

今年8月、東京証券取引所は、相談役・顧問に関する記載項目を追加する旨の改訂を公表しました。開示情報では、氏名、役職・地位、業務内容、勤務形態・条件、社長等退任日、任期の各項目を記載します。記載するかどうかは各社の任意ですが、不透明な印象を与えるリスクは負えないので、不開示の選択は事実上難しいと思います。

記載内容のうち私が注目しているのは、「業務内容」です。そもそも顧問・相談役がガバナンス論でやり玉にあがったのは、株主に選任されず、経営責任も持たない顧問・相談役が現経営陣に圧力をかけ、後継者選任や重要政策の決定をゆがめてしまうリスクを株主が懸念したからです。従って、業務内容の説明は、不当な圧力をかけず決定をゆがめることはない点を合理的に説明するものであるべきです。しかし、東証の記載要領も企業による実際の開示内容も、こうした問題の判断材料として十分かどうか、私は疑問を感じています。

例えば東証が公表している記載要領では、「業務内容については、社内で経営に関わっている場合には、その内容についても記載することが考えられます。また、社内における業務内容を記載する他、社外の活動(公職等)に会社を代表して参加している場合には、その内容も記載することが考えられます。具体的な業務内容や会社を代表しての活動が無く、単に役職名の肩書きの使用を許諾しているのみの者については、氏名、役職・地位、社長等退任日、任期の欄のみ記載した上で、『業務内容』や『勤務形態・条件』の欄に、業務内容や勤務実態が無い旨の説明を記載することが考えられます。」と説明されています。

具体的に、10月16日に開示した株式会社みずほフィナンシャルグループを例にとれば、業務内容は「経済団体活動、社会貢献活動等(経営非関与)」とだけ記載されています。その一方で、自由記入欄に「顧問制度に関する社内規程においては、①顧問は経済団体活動や社会貢献活動等を担い、経営には関与しないことを改めて明定するとともに、今後については原則として、②常任顧問は、当社社長またはカンパニー長経験者のみが就任できるものとし任期は66歳とする、③その後、当社社長経験者は名誉顧問に就任できるものとし、任期は定めないが無報酬とする、ただし④当社グループにとって重要な対外活動を担う場合には報酬を支払うことがあり、上限を20百万円として、活動状況等を踏まえ1年毎に見直しを行う、⑤顧問制度や顧問の選任・報酬は社外取締役を中心とした会議体(指名委員会・報酬委員会・人事検討会議)を経て決定する、こと等を定めています。」と説明されています。

これを読んで私は、「経営責任も持たない顧問・相談役が現経営陣に圧力をかけ、後継者選任や重要政策の決定をゆがめてしまうリスク」を感じたのですが、読者の皆様はいかがでしょうか。