役員向けコンプライアンス研修の考え方

昨日の記事で役員研修にふれた個所がわかりにくい、と読者の方から指摘がありました。セミナーを受講された方を念頭に書いてしまったのでご指摘の通りだと思います。せっかく読んでくださったのに申し訳ありません。読者の皆さんにとってご関心の高いテーマだと思いますので、本日のブログで補足説明します。

役員の方々は、新しい視点を得られる情報や即効性のある情報を短時間で効率よく聞きたいという要望が強いです。従って、①以前に聞いた話だ、②抽象的すぎてヒントにならない、③当社ではすでに対応済みだ、といった反応が寄せられないように企画しなければなりません。

担当事務局の方々は、自社の経営でどのような会話がされているか、役員の視点や気持ちがどういうものか、実感として理解していないのが普通だと思います。ですから、その流れのまま、外部講師に丸投げして、参加者である役員からクレームを受ける失敗を招きます。

できれば、外部講師にお願いして、社長や担当役員に事前に面談してもらい、経営メンバーの関心がどこにあるかを把握してもらうべきでしょう。そのうえで、外部の情報と混ぜて料理してもらえば、経営実務に役立つ講演内容となります。事前の面談が難しければ、担当事務局が役員から聴き取り、それを整理したメモを持参して外部講師に事前説明することも次善の策として考えていただきたいです。

そのうえで、①体制・仕組みの整備において不足を感じる点はないか、②リスク情報を早期把握する努力は十分か、③中間管理職や一般社員への意識調査結果のどこが心配かといった話題を、他社の失敗例を交えて解説してもらえば、そのまま経営の議論につなげられます。例えば、ガバナンス・コードの解説をお願いするにしても、自社の現状分析に重ねて話しませんと、超大企業や外国企業の話にしか聞こえなくて当然です。

役員のコンプライアンス研修は一般教養ではなく経営実務の前哨戦、と考えるのが私のやり方です。研修の前半は、採りあげる経営テーマについて、なんのために何をやるのか、どんな選択肢があるか、参考例はあるか、メリット/デメリットをどう考えるか、どんな手順で勧めるか、総論をお話します。そして研修の後半では、会社の経緯や置かれている状況に即して、特にどこに注意して進めるべきか、自分が感じているところをお話し、できれば役員の方々と意見交換をします。

仕事は二階級上の立場で考えろといいます。最初に役員が納得して取り組んでくれれば、その後の教育展開も方針が明確で下位職の受け入れ態勢も整いますので、進めやすくなります。読者の皆様も、自社の役員のニーズがどこにあるのか、それに応える情報は誰が提供してくれそうか、ぜひ考えてみてください。