子会社から親会社への事前申請や報告に関する基準

2015年の改正会社法で「企業集団の内部統制システム整備義務」が明記され、子会社の不祥事で親会社の社長や担当役員が法的責任や道義的責任を問われる事例が複数発生していることから、親会社と子会社各社に共通に適用する「グループ規程」に関して質問を受ける機会が増えてました。

グループ規程の作り方は、一つの規程を作成して各社の経営が適用承認の意思決定をする方法Aと、重要事項を共通化した規程を各社単位で作成する方法Bとがあります。

方法Aのメリットは、親会社・子会社間の縦方向の統制事項と子会社間の横方向の統制事項を含めて定められるので、グループガバナンスの全体設計が明確に理解・説明できる点にあります。方法Bのメリットは各社の事情に合わせて調整できる柔軟性、細かい事項まで盛り込める網羅性にあります。

いずれも一長一短なので会社の事情や好みで決めて構いませんが、方法Aはオーナー支配の強い企業、事業や商品が絞られている企業、子会社が少ない企業、一方方法Bは、上場企業、事業・商品が多角化している企業、子会社が多い企業に向いていると思います。

さて、コンサルタントの腕の見せ所は、そうした規程の付属文書にあります。それは「子会社から親会社への事前申請や報告に関する基準」です。親会社の取締役は、その善管注意義務の履行として、例えば、年度予算、決算、重要な人事、新規事業、多額の借財の得喪、リスク・不祥事などの重要事実を把握し、必要ならば介入して中止・変更させなければなりません。

その前提条件として、こうした情報が子会社の誰から親会社の誰にどのタイミングであがり、それを親会社の取締役が適時共有するシステムを「見える化」する必要があります。その余の事項は「報告事項」と位置付け、後からで親会社に確実に伝わる仕組みにします。そして、いずれにも該当しない事項は子会社の裁量事項と扱います。

親会社の取締役会や経営会議で正式決定する事項でも、タイミングが遅れると子会社内で準備が先行してしまいますので、できるだけ早く確認・調整するのが企業の実務です。この点を間違えて、親会社の機関決定のスケジュールが子会社の事業スピードを遅らせるケースもありますが、もってのほかだと思います。

親会社と子会社がお互いの権限と責任、意思決定・監督のルールを明確にすることは、透明性のある経営に必須の条件です。まだ整備されていない企業は是非ご一考ください。