大丈夫ですか、商品の表示管理

私が理事・運営委員を務める日本CSR普及協会の研修セミナー「景品表示法・下請法の最新動向と予防実務の注意点」(7月26日開催)が好評のうちに終了しました。登壇いただきました弁護士の薮内様、花本様、湊谷様、屋敷様、明解な解説をありがとうございました。当日、企業実務の観点で私が整理した事項をこのブログに掲載しておきます。参加できなかった読者の皆様も参考にしてください。

  1. まず、商品表示の適正を求める規制の「運用」が著しく厳しくなり、以前の感覚のまま継続すると「不当表示」の指摘を受ける危険が増加しています。平成28年4月以降、一定の売上高以上の商品販売については高額な課徴金が義務的に賦課されます。状況が一変していますので、企業は業務プロセスに「表示管理」の機能を追加することが必須と考えるべきです。
  2. 「表示管理」の機能は、課徴金の免責事由(景表法8条1項但書)を充足するレベルで、不当表示の未然予防と違反発見時の速やかな是正対応を備えることが目標となります。整備すべき態勢全般については、「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上措置についての指針」(改正平成28年4月1日内閣府告示第125号)が目安になります。この指針は内容が広範なので商品・市場・流通形態等の特性にあわせて濃淡をつけてよいと思います。
  3. 不当表示防止のチェックは、その表現の「妥当性」(消費者に優良誤認・有利誤認されないか)と「真実性」(中身がAと思って表現したら実はBだったということはないか)の二つの側面で行います。前者の「妥当性」は、表示規制の社内プロを育て、当局の例示や違法事例などを頭に叩き込んでもらい、必ずその人のチェックを受けなければ出荷できない業務プロセスを作ります。後者の「真実性」は、関係部署がすべて参加する商品チームを編成し、フェーズ移行ごとにミーティングを持ち、商品表示の裏付け事実と表現の正確性を全員で確認する方法がお勧めです。
  4. その他で注意して欲しいのは、発売以降の販売促進策の表示も商品チーム全員でチェックすることです。例えば、〇月〇日現在業界No.1というキャッチのリーフレットを1年以上使い続けていたケースがあります。また、社内の情報は消去して消費者の目線で「書かれていること」だけを解釈することです。例えば、同じ特別値引を3クールで展開する計画を立てたとして、中間の第2クールの宣伝物に該当期間だけしか表現しなければ、以前(第1クール)や以後(第3クール)にも同じ特別値引があったではないか、その期間(第2クール)だけというのは嘘ではないかと指摘されかねません。虚偽表示の意図はなくても事実と違えば不当表示になります。
  5. 中小企業庁の調査への回答作業で不当表示やその恐れが判明したときは、違反の重大性、課徴金の免責事由の充足性、課徴金を減額される自主申告の可否など、法的な事件として判断すべき事項が多いので専門の弁護士に相談することをお勧めします。
  6. コンプライアンスの時代ですから、景表法の遵守だけでなく、不利益告知やクレーム防止など、消費者との知識・情報の差異を踏まえた「プロの説明責任」を営業系社員などに教育徹底することが、結果として企業のリスク予防になります。