原発・核ごみ住民説明会にアルバイト学生動員

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は11月14日、原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地絞り込みの件で経済産業省と同機構が住民向けに開いた意見交換会において広報業務を委託した「地域力活性化研究室」(練馬区)及び「オーシャナイズ」が、謝礼の支払いを約束して学生を動員していたことを公表しました。

11月6日のさいたま市の説明会では、86人中の12名が学生で、オーシャナイズから1万円の日当を約束されて参加したものの、謝礼を問題視する意見が会場で出たため、実際には支払われなかったとのことです。さらに、オーシャナイズは、東京、愛知、大阪、兵庫の4会場でも一人あたり5千円の謝礼を学生サークルに約束し、27人の学生を動員したようです。その他、5県でも同様の勧誘をしたものの、学生が集まらなかったのことです。

本件は、2011年の九州電力・やらせメール事件と同じ構造で、説明会の公平性を損ねたことに批判が集まっています。同事件は運転停止中の玄海原子力発電所の再稼働を巡り、経済産業省が県民向けの説明会を開いた際、九電の原子力発電部門の社員が本社や子会社の社員に一般市民を装って再稼働を支持する意見メールを送るよう依頼していた案件でしたね。

こうした作為的な動員、賛成意見の掻き集めは、反対派の意見にも耳を傾け、良識ある配慮をすべき説明会を、開催した事実を作るための通過儀礼と考えている印象を与えてしまい、事業の推進に大きな障害となるリスクがあります。特に、原発など反対活動も多い公的事業に関する説明会であれば、すぐ政治問題に発展する可能性もあります。

一方、都心部の中高層建物建築や風光明媚な郊外での太陽光発電など、民民の対立になりますと、説明会を開催して法的条件を満たす以上はストップできないと行政も後退することがあります。説明会に参加しますと、「いくら反対しても建つものは建ちますよ」とうそぶく事業もいないでもありません。

今回の原因は、委託先に丸投げし、内容のや禁止事項を細かく確認しなかった原子力発電環境整備機構の不注意だったように思います。九州電力の事例もあるのですから、原発事業の置かれている状況を踏まえ、発注時に予防・排除しておくべきでしたし、それが可能だったと思います。

民間企業においては、社会一般では「説明会」が「説明責任」と同義に厳しく捉えられていること、結論の誘導や一方な打ち切りは卑怯なやり方と反撥を食らうことをよく理解しておく必要があります。うるさい反対派を振り切り、当初の目的を達したと喜んでも、長い目で見れば信頼を失って事業の継続を危うくします。根気よく説得し、譲るところは譲って、初心を貫徹する粘り強さが求められます。