不祥事の調査委員会と司法手続の関係

株式会社安藤ハザマが10月26日、福島県田村市発注の除染事業における除染費用の不正取得疑惑に関する社内調査委員会を途中終了し、調査結果を公表しないことを発表しました。その理由は、従業員2名が詐欺罪の容疑で東京地方検察庁から起訴され、今後司法の判断に委ねることになるので、裁判への影響等も鑑み、調査内容の公表は差し控える、と説明されています。

こうした場面では、刑事・民事の司法手続と調査委員会の活動目的の目的が完全に一致しないため、コンサルタントとして助言に悩むことがあります。刑事手続の目的は個人の行為の評価が、民事手続の目的は当事者間の利害の裁定が基本となります。

これらに対して、社内調査委員会や独立第三者委員会は、株主、顧客、取引先、地域社会、金融機関等のステークホルダー全員に対する説明責任を果たすことを目的に設置されます。従って、主犯格の役員・社員の行動のみならず、そうした不祥事を生んだ歴史的経緯、組織文化、経営のリーダーシップ、加担・助長した役員・社員・取引先など、要因を相互的に分析する必要があります。

両者は活動目的が違うので、「今後司法の判断に委ねることになるので社内調査を終了する、調査内容は公表しない」という理屈が正しいのかどうか、社内調査委員会の設置目的に照らしてよく考えてみる必要があるように思えてなりません。

とはいえ、最近、経営トップが引き起こした不祥事と結論する独立第三者委員会の調査報告が続いており、私は疑問を感じています。ストーリーとしてはわかりやすいですが、人間模様が織りなす組織行動は単純なものではなく、A級戦犯やB級戦犯を取りこぼし、表面的には取り繕ったとしても本質的な不正体質や隠れた問題を温存させるリスクがあります。

独立第三者委員会は、調査行為に強制力がなく、時間的にもリソース的にも制約が多いので、多くを望むことは現実的ではありません。しかし、あまりに単純化したストーリーで不祥事が語られ、世間がそれで納得してしまうと、社会も組織も学習になりません。

乱暴な発言かもしれませんが、裁判に影響するくらいの徹底した調査ができるならば、むしろ立派だと思います。私は、社内調査と司法手続は同時並行的であって良いと考えています。職業裁判官による雑音の排除能力は高いですし、組織の膿を出し切る覚悟で社内調査を徹底するならば、社会も違和感を感じないのではないでしようか。