パワハラ予防・対応体制整備の義務化

9月24日付けの日本経済新聞に、厚生労働省がパワハラの防止策づくりを企業に義務付ける方向で、労働政策審議会の議論を9月から開始する旨の記事が掲載されていました。

セクハラは男女雇用機会均等法で、マタハラは育児・介護休業法で、予防・対応体制の整備義務が定められていますが、パワハラは判例の集積のうえに企業が対応すべき対策が具体化されている状況です。

セクハラやマタハラは、仕事とは関連性の薄いところで、本人がunwelcomeな精神的暴力を行う点に問題性があります。一方、パワハラは、仕事の注意・指導に関連して、社会通念上やり過ぎの精神的暴力を振るう点に本質があります。

注意・指導されれば誰でも多少は嫌な気分になりますので、パワハラの該否は、本人がunwelcomeかどうかでなく、社会通念に照らして第三者的に見て「業務の範囲」を逸脱しているかどうかを判断します。

こうした背景から、パワハラ事件の先例は極端な例が多く、管理者層にはあまり参考になりません。その一方で、パワハラを材料に上司にプレッシャーをかけて自分は努力を免れる甘えた社員が増えています。パワハラ事件を基準に防止策を考えることが適切なのか、企業関係者は疑問に感じています。

ですから最近では、パワハラの前段階のグレーゾーンに焦点をあわせ、ギスギスした職場から脱皮するため、職場のコミュニケーション不全やチーム意識の希薄化をいかに改善するか、という課題に取り組む組織が増えています。

労働政策審議会の議論が企業の現場の実態に合致したものとなることを切に希望します。