ネット購入の新聞記事を読んで

8月17日付け日本経済新聞の記事「丸井、試着品だけの売り場 10店舗超に 『購入はネット』広がる」と8月19日付け同新聞記事「米企業にアマゾン恐怖症」を読んで、店舗購入からネット購入への移行がもたらすビジネスへの影響のすざましさを改めて再認識しました。

だいぶ前から、街の量販店で現物を確認し、商品を決めてからネットの最安値サイトで購入する購買行動が目立ってきました。こうした状況が続くと、いずれの流通業者も、自ら費用をかけて積極的な販売促進活動を行わなくなり、消費者の選択に必要な情報が提供されなくなったり、本来であれば購入したであろう消費者が購入しなかったりする状況が想定されます。

このような状態は、「フリーライダー問題」と称され、公正取引委員会の「流通・取引慣行に関する独占禁止法上の指針」でも、商品の情報が不足している多数の新規顧客の利益につながり購入量の増大が期待できるなど競争促進効果があると認められ、しかもその商品に固有の販売促進活動で費用が回収不能なもの(埋没費用)である場合は、一定の地域を特定の流通業者のみに割り当てることなどの制限行為が可能であるという解釈が示されています。

同記事によれば、丸井のPB商品を対象に、店頭で色やサイズを確認してもらったうえで、店舗の端末かスマホで購入してもらう店舗を拡大するそうで、顧客の手ぶら帰宅ニーズと店舗の在庫・運営費用の圧縮が狙いと説明されています。現段階では、上述のフリーライダー問題とは異なりますが、ネット購入を前提とした実店舗を流通業者が導入する動きが今後どのような影響を生むか、PB商品以外に拡大する際のフリーライダー問題をどのように解消するのか、興味深く記事を読みました。

また、米国では、ネット通販のアマゾン・ドット・コムが進出する商品分野(生鮮品・衣料品・コンテンツ等)において業績が悪化・低迷する百貨店、スーパー、専門店の小売業が増えており、「アマゾン・エフェクト」と呼ばれて業界の秩序を変え始めているとの記事も、問題意識をもって読みました。

流通業者は、市場の支配力を強化するため、調達取引において最優遇条件や排他的な制限を増やす圧力が働きます。一方、消費者が価格の安さと配達の便利さを求めるほど、流通業者の淘汰は進みます。行き過ぎた利便の先には、流通業者の市場独占、すなわち消費選択の後退が待っています。

わが国でも消費者の高齢化、共働き世帯の増加が進み、ネット購入の必要性はますます高まりますので、社会に歪みや副作用を生まないよう、よく考えなければいけません。競争規制と同時に、倫理性に配慮した投資と消費を通じて、企業の事業活動にタガをはめる必要を痛感します。