コーヒーの発がん性警告に関するカルフォルニア州での判決

3月30日、米国ロサンゼルス(カルフォルニア州)の裁判所がスターバックス等の販売事業者に、コーヒーに発がん性成分が含まれているとの警告を表示すべきとの判決を下した旨の報道がありました。どのような背景か気になるので調べてみました。

この裁判は、カリフォルニア州南部に拠点を置く非営利団体が、コーヒーの販売や製造を手がける数十社を2010年に提訴したもので、早い段階で被告に不利な判断が示されたため、セブンイレブンは和解金を支払ったうえ店舗に警告表示を掲げ、スターバックスも砂糖やミルクの付近に警告表示を設置したようです。

今回の裁判で問題とされたのは、豆を焙煎する際に生じるアクリルアミドという化合物で、厚生労働省のWebサイトでは次のように説明されています。

① 炭水化物を多く含む食品を高温( 120 ℃以上)で加熱調理することにより、食品中のアミノ酸の一種であるアスパラギンがブドウ糖、果糖などの還元糖と反応してアクリルアミドに変化する。

② 食品健康影響評価においては、食品由来のアクリルアミドの摂取について、発がん以外の影響については極めてリスクは低いとする一方、発がんのリスクについては、ヒトにおける健康影響は明確ではないものの、動物実験の結果、公衆衛生上の観点から懸念がないとは言えないため、引き続き合理的に達成可能な範囲でできる限りアクリルアミドの低減に努める必要があると結論付けている。

③国際がん研究機関( IARC)による発がん性分類において、人に対する発がん性の証拠は不十分だが、動物実験における発がん性の証拠は十分にあることから、2A(人に対しておそらく発がん性がある)に分類されている。 

カリフォルニア州では、アクリルアミドを含む900以上の物質を含む商品を扱う企業は、プロポジション65(安全飲料水および有害物質施行法)と呼ばれる規制に基づいて、消費者向けに警告表示が義務付けられています。カリフォルニア州では、1986年にプロポジション65が制定されて以来、ありとあらゆる食品に発がん性物質の警告表示が付けられるようになったと聞きます。

よく誤解されますが、国際がん研究機関( IARC)による発がん性分類は「人に対する発がん性があるかどうかの『根拠の強さ』を示すものです。物質の発がん性の強さや暴露量に基づくリスクの大きさを示すものではありません。」(農林水産省Webサイト)

因果関係は否定できないものの、発症リスクの増加が定量化できない情報にもかかわらず、癌=不治の病という固定観念から、「発がん性」という言葉は食品のイメージや消費者の選択に想像以上のインパクトがあります。警告表示を付けながら笑顔で宣伝するのは難しいものです。警告表示のコンサルテーションでは、簡にして要を得た表示を何度も考え直すのが常です。

日本で同様の要求を消費者団体等が提起したら、どのような結論に落ち着くのでしょうか。専門の弁護士さんと議論したいと思います。