ガバナンスで重要なのは社外取締役の資質と経営者の本気度

7月24日付日本経済新聞・法務面の記事「『監査等委員会』運用に知恵 企業統治の向上模索」では、監査等委員会設置会社に移行したホンダ、みずほフィナンシャルグループ、リスクモンスターの移行理由などが紹介されています。

私が接点をもつ上場企業では、社外役員の確保、報酬総額の削減を目的に、監査等委員会設置会社への移行を検討したケースが多数を占めます。6月5日付日本経済新聞の記事によると、上場企業の社外取締役の半数が年1,000万円以上の報酬を得ている(プロネッド社調査)そうですから、それに見合うリターンがないと経営が考えても不思議ではありません。

また、新聞に掲載される各社の体制選択の理由やガバナンス方針は、事務局スタッフ、担当役員、社長あたりですり合わせて作成したものと思われ、それが取締役全員が議論を尽くした共通認識であるケースは少ないのではないかと思います。社長やガバナンス担当役員以外の常勤取締役はあまりよく理解していませんし、社外取締役も積極的な検討を社長に迫っているケースは稀であると思います。

コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が想定すると思われる欧米トップ企業の究極の企業統治は、①経営の経験・見通し力・バランス感覚に富んだ筆頭社外取締役がCEO/代表取締役を控えめにけん引・牽制する、②筆頭社外取締役が取締役会の議題選択や議長を担当し、社外取締役の情報共有や動き方をサポートする、③取締役会の中心的使命は、中長期経営方針、指名・評価・報酬、持続可能な成長に影響する重要事項の判断等におく、④取締役は様々なステークホルダーの利害を踏まえて指摘する等、をあるべき取締役会像とします。

監査役会設置会社、指名委員会等設置会社、監査等委員会設置会社の体制選択はガバナンスの結果を生むものではなく、むしろ「ありたい企業統治」を想定して、実現性や効率性から体制を選択するのが筋であると、日本経済新聞の記事もそのように言いたいのでしょう。ガバナンスで重要なのは、エゴンゼンダーの佃社長が記事で発言されているように「社外取締役の資質と経営者の本気度」です。社外取締役の候補者人材のストックを厚くすること、経営がチェックを受けるのを当然と考える職業倫理を醸成することが社会の課題であると考えます。